余市 銘柄図鑑 【シングルモルトウイスキー】
余市
竹鶴政孝が築いた日本ウイスキーの聖地
1934年、日本ウイスキーの父・竹鶴政孝が北海道に設立した余市蒸留所。
世界唯一の石炭直火焚蒸留が生み出す力強くスモーキーなシングルモルト。

基本情報
2024年価格改定情報
2024年4月1日出荷分より価格改定。市場価格はさらに高騰している状況です。
余市蒸留所の歴史
日本ウイスキーの聖地誕生
1934年、「日本のウイスキーの父」と称される竹鶴政孝が、理想のウイスキー造りを求めて北海道余市町に設立した蒸留所。
スコットランドで学んだ本格的なウイスキー製造技術を日本に持ち帰り、スコットランドの気候風土に最も近い余市の地を選定しました。
竹鶴は「寒冷地で適度に湿度のある気候風土、良質な水があり、豊富なピートが採取できる場所」として余市を選び、
ここに大日本果汁株式会社(現ニッカウヰスキー)を設立。日本ウイスキー産業の新たな章を開きました。
世界唯一の石炭直火焚蒸留
余市蒸留所の最大の特徴は、世界で唯一となった「石炭直火焚蒸留」です。
創業当時からの伝統的な製法を頑なに守り続け、800〜1200℃の直火で蒸留することで、
香ばしく力強い独特の風味を生み出しています。
この製法は温度調整が非常に困難で効率も悪いものの、竹鶴政孝が理想とする
「重厚で個性的なモルトウイスキー」を実現するために不可欠な技術として継承されています。
余市の特徴
立地と環境
- 所在地:北海道余市町
- 気候:寒冷湿潤、スコットランド類似
- 水源:余市川の清流
- 環境:日本海に面した潮風
製造技術
- 蒸留方法:石炭直火焚蒸留
- ピート:北海道産ピート使用
- 樽材:新樽中心の熟成
- 特徴:世界唯一の製法
テイスティングノート
香り(Nose)
力強いピートスモークが前面に立ち、その奥から潮の香りと木炭の香ばしさが現れます。
バニラとハチミツの甘い香りに、ドライフルーツやナッツのような複雑なアロマが重層的に広がります。
味わい(Palate)
口に含むと最初に感じるのは重厚なモルト感と骨太なボディ。
石炭直火焚由来のスモーキーさが舌全体を包み込み、
その中に麦芽の甘みとウッディなタンニンが調和しています。力強く男性的な味わいが特徴的です。
余韻(Finish)
長く続く余韻には、ピートスモークとほろ苦いチョコレートのような風味が残ります。
最後に僅かな塩味と共に、新樽由来のバニラの甘さが心地よく口の中に広がり、
重厚で満足感のある後味を演出します。
宮城峡との比較
余市
宮城峡
竹鶴政孝は「異なる蒸留所で生まれたモルト原酒をブレンドし、より味わい深く豊かなウイスキーをつくりたい」
という理念のもと、対照的な個性を持つ2つの蒸留所を設立。余市の力強さと宮城峡の華やかさが、
竹鶴ブレンドの複雑で奥深い味わいを生み出している。
おすすめの飲み方
ストレート
余市本来の力強いピート香とスモーキーな味わいを最も純粋に楽しめる飲み方。
常温で時間をかけてゆっくりと味わうことで、複雑な香味の変化を体験できます。
オン・ザ・ロック
氷により少しずつ加水されることで、隠れていた果実味やなめらかな甘さが現れます。
温度変化による香りの変化も楽しめる、余市の魅力を多面的に味わえる飲み方です。
トワイスアップ
ウイスキーと同量の常温の水を加える飲み方。アルコール度数が下がることで
香りが開き、余市の持つ複雑なアロマをより詳細に分析することができます。
ハイボール
炭酸水で割ることで、余市のスモーキーな香りが際立ち、爽快感のある味わいに。
食事との相性も良く、余市の個性を残しつつも飲みやすくなります。
現在の市場状況
入手困難な状況
2024年の価格改定以降、余市は定価での購入が極めて困難な状況が続いています。
市場価格は定価を大幅に上回る価格で流通しており、特に年数表記のあるボトルは
プレミア価格で取引されています。
定価販売
蒸留所直売所、一部特約店での抽選販売
オンライン抽選販売(不定期)
市場価格
定価の1.5〜2倍程度で流通
年数表記ボトルはさらに高額
日本ウイスキーの原点
余市は竹鶴政孝が追求した「本物のウイスキー」への情熱が結実した、日本ウイスキーの原点とも言える銘柄です。
世界唯一の石炭直火焚蒸留による力強くスモーキーな味わいは、他では体験できない唯一無二の個性を持っています。
価格の高騰により入手は困難になりましたが、その価値は十分に理解できる、
日本ウイスキー愛好家なら一度は味わいたい至高の一本です。